子供のころ「ピアノが巧くなれるんだったら、悪魔に心を捧げてもかまわない・・・」と、思ったことがありました。ピアノのテクニックに魔術のような魅力を感じていたのです。
いまでも思いはつのるばかり・・・いい歳をして困ったものですね・・・ハッハッハ!!
さて、私と同じくピアノに魅せられている方と、また自分自身の集大成のためにも、自分が体験して弾き易くなったヒント等を、書いていきたいと思います。
よろしければ私のピアノ奏法もお読みください。
☆みなさんの生活が音楽的で豊かでありますように・・
イギリスの優れたピアノ教育者、トビアス・マッティは、筋肉の弛緩と、肩から指先にかかる自然な腕の重みについて、多くを書いている。
19世紀終わりから20世紀初頭にかけて、硬い奏法によるメソードの影響下に鍛えられた多くのピアニストにとって、助けにになったことは確かだった。
しかし、鍵盤上に腕をコントロールされない状態で落とすことをさかんに主張したのは、マッティではなかった。
自分の理論が「マッティ・メソード」として、誤って伝えられていることに怒ったマッティは・・・
「ばか者以外は鍵盤上に腕を落としてはならない」・・・と宣言した。
しかし、これでも「腕を落とす」者を止めることはできなかった。
腕の重みによって圧力を感じて、この圧力を指から指へと移す。その結果、それぞれの鍵盤をゆっくりめに押さえることができるようになる。これは音をコントロールするのに必要な技術である。そして、指を強くし、腕と手首を柔軟にするのに役立つ。
ピアノを弾く際に鍵盤の底に基点を置くということは、もっとも心地好い感覚のひとつであるに加えて、自由をもたらし、テクニックを容易にしてくれる。一音あるいは複数音を、または手全体を押し下げておくことは、圧力を必要とする。この圧力こそ基点を置くための秘訣なのである。
例えば、腕の重みが一本の指に支えられると、他の指がたちどころに自由になる。一本の指に掛かる重みは、圧力によって引き起こされる。
セイモア・バーンスタイン著:音楽による自己発見「心で弾くピアノ」より